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多くの女性の肌の悩みであるシミ。メイクで隠すことはできてもどうにかして消したいと思うのが普通です。そんな肌トラブルにはトレチノインとハイドロキノンという医薬品が効果的です。具体的にその使用方法とシミについてを詳しく見ていきましょう。

ちょっと前までにはなかったのに、ふと鏡を見たらシミができていてショックを受けた、という経験をした女性は多いのではないでしょうか。
「シミは、歳を取ればできるものだから、コンシーラーなどで隠すしかしょうがない」と、諦めてしまっている人もいると思います。
一方で、「シミを消したい」と、様々なシミ対策製品を使ってみても、効果が出なかったと諦めてしまった人もいるでしょう。しかし、諦めるのはまだ早いです。本当に効果のあるシミ対策製品を使用することで、厄介なシミを薄くすることができます。
本当にシミを消したいのならば、「トレチノイン」と「ハイドロキノン」が配合されたケア製品を使用することが大切です。
ここでは、このトレチノインとハイドロキノンについて、その効果やシミが消えていくメカニズムを学びましょう。

トレチノインの効果について

微笑む女性

「トレチノイン」とは、ビタミンA誘導体の一種で、シミを消したい時に使用することで高い効果を発揮します。
ビタミンA誘導体とは、コラーゲン生成を促進させる働きをするビタミンA(レチノール)を、効率良く体内へと吸収させるために合成された物質のことで、トレチノインはその一種になります。

トレチノインは、肌の角質を剥がすピーリング効果皮脂の過剰な分泌を抑える効果角質層のコラーゲン生成を促進させる効果、の3つを持っている優れた成分です。
使い方としては、外用薬として肌に塗ることで、徐々にシミを薄くしていくことができます。
頑固やシミを消すことができるとなると、それだけ強力な刺激がある成分なのかと思いがちですが、トレチノインは、わずかではありますが人間の血液中に含まれているため、アレルギー反応などの刺激を受けることはありません。
シミ対策製品の中には、ビタミンAの一種であるレチノールにトレチノインが含まれていることから、「トレチノイン入りシミ対策製品」として販売しているものもあります。
しかし、レチノールはビタミンAであるため吸収率が悪く、有効成分を効率良く皮膚に吸収させることができません。一方、トレチノインはビタミンA誘導体であるため、レチノールの100倍も含まれており、その分シミへの効果も高くなります。

トレチノインは、ピーリング作用、肌のターンオーバー促進作用、皮脂分泌の調整作用、肌の保湿作用などがあり、これらが皮膚の内部で効率良く働くことができ、シミを薄くしていきます。

ピーリング作用
肌は新しい皮膚が生まれて成長し、役目を終えるとやがて自然と剥がれ落ちていきます。
これを肌のターンオーバーと言い、私達の肌はターンオーバーによって肌トラブルを改善していきます。
しかし、加齢や不規則な生活、ストレスなど、様々な要因によってターンオーバーが崩れると、古くなった角質が上手く剥がれず肌に留まってしまい、肌トラブルを上手く改善できなくなってしまいます。
トレチノインは、効率良く皮膚内部に吸収されるため肌を活性化させ、古い角質を効果的に剥がすことができます。
肌のターンオーバー促進作用
ビタミンA誘導体であるトレチノインは肌細胞を活性化させる作用があり、これによって肌細胞の細胞分裂を促し、肌のターンオーバーを正常に整え美肌へと整えていきます。
皮脂分泌の調整作用
過剰な皮脂分泌は、肌の常在菌のエサを増やすことになります。
すると、ニキビの原因でもあるアクネ菌が増殖をはじめ、ニキビなどの肌トラブルができてしまいます。ニキビが治まっても跡として残る可能性が高くなります。
トレチノインには過剰な皮脂分泌を抑える働きがあるため、アクネ菌の増殖を抑えるほか、毛穴詰まりなども抑えることができます。
肌の保湿作用
肌を潤し、ハリと弾力を保つことができるのは、角質層の内部に高保湿成分であるコラーゲンやヒアルロン酸が十分に生成されているからです。
これらの保湿成分が減少すると、肌のターンオーバーが崩れてシミができやすくなるほか、シワやたるみが生まれ老け顔になってしまいます。
トレチノインにはコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進させる働きがあるため、角質層を潤し肌にハリや弾力を与えることができます。

シミ対策としてビタミンAは効果的であるということは、皮膚科医の間でも常識となっている事実です。
その中でも、より安定しているビタミンA誘導体のトレチノインは、ビタミンAの約100倍~300倍もの活性作用があると言われています。
このことは世界でもすでに認知されていることで、アメリカではシワ改善やニキビを治す薬としても利用されています。
肌に安全なトレチノインは、シミを消したい人はもちろん、ニキビやニキビ跡、そばかす、日焼けによる色素沈着、老人性色素斑など、様々な肌トラブルの改善に効果を発揮します。

ハイドロキノンの効果について

シミを気にする女性

シミを確実に消したい時には、トレチノインと共に「ハイドロキノン」を使用することで、より改善効果が期待できます。
ハイドロキノンは、強力な漂白作用を持った成分で、シミを薄くすることができ、美白効果が得られます。使い方としては、外用薬として肌に塗ることで美白効果を得ることができます。

色素沈着の原因でもあるメラニン色素は、紫外線を角質層の奥の真皮へと届かないようにするためのバリア機能を持っています。ちょうど、人間が日傘をさして日差しを避ける行為と同じ役目をしています。
メラニンはチロシナーゼと呼ばれる酵素が作り出すもので、ハイドロキノンはこのチロシナーゼのメラニン合成作用を抑制させるほか、メラニンが作り出されるメラノサイトの働きも抑制させることができるため、新たに作られるシミも予防することが可能です。
これにより、メラニンの発生数を減少させることができ、肌を美白へと導きます。

ハイドロキノンとトレチノインの併用

ハイドロキノンは、皮膚の奥まで浸透しにくい成分ですが、浸透率の高いトレチノインと一緒に使用することで肌への吸収も良くなり、美白効果を高めることができます。
皮膚科でシミ治療を受けると、ハイドロキノンとトレチノインを併用処方するところも多いです。
美白効果のある成分として広く利用されているものに、アルブチンやコウジ酸といったものがありますが、これらの働きを1とすると、ハイドロキノンの働きは100以上とも言われています。
それだけ美白効果が高いため、「肌の漂白剤」と呼ばれることもあります。

高い漂白作用を持つハイドロキノンは、トレチノイン同様に世界でも広く利用されています。しかし、用法・用量の間違った使い方をすると、肌がかぶれたり赤くなったりします。
肌が敏感な方は時にはアレルギー反応や、肌の一部が白く変色する白斑が起こる可能性もあります。そのため、アメリカではハイドロキノンの配合において厳しい規制が設けられています。

アメリカにおけるハイドロキノンの配合割合は、FDA(アメリカ食品医薬品局)により、2%までがドラッグストアなどで購入できる医薬品として、2%以上は医療機関での処方される治療薬としての使い方が認められています。
日本においては、アメリカのような用量規制はされていませんが、医師が肌の状態に合わせて最適な用量で処方してくれます。

具体的な併用効果

ハイドロキノンの美白効果を高めるためには、トレチノインとの併用による使い方が最も効果的です。併用使用により、2つの成分の効果が得られるようになります。
併用することで以下の効果を得られます。

  • ピーリング効果
  • ターンオーバー促進作用
  • 皮脂分泌抑制作用
  • 保湿作用
  • メラニン合成抑制作用
  • 美白効果

トレチノインとの併用使用の他にも、ハイドロキノンとケミカルピーリング、ハイドロキノンとレーザー治療との併用も効果的とされています。

使用上の注意

ハイドロキノンは、非常に強い作用を持っているため正しい使い方が求めらます。
使用上の注意点としては主に以下のことに気を付ける必要があります。

  • 熱や光に弱いため、きちんと密閉し冷蔵庫で保管する
  • 医師の指導のもと正しく使用する
  • 日焼け止めを塗って紫外線対策をする
  • 保湿をしっかりとする

トレチノインとの併用使用の際には、更に目と口の周り1cm以内には使用しない、妊娠中の使用は避ける、などがプラスされます。
ハイドロキノンとトレチノインは併用使用が推奨されていますが、どちらの成分も用量を間違えると、逆にシミを増やしたり悪化させる要因になります。
そのため、医師の診断に基づき正しく使用することが大切です。
正しく使用することで、すでにできてしまったシミやしわなどを改善させると共に、メラノサイトでこれから作られようとしているシミも抑制させることができるため、確実にシミを減らしていくことができます。

シミができるメカニズムと消える過程

紫外線を気にする女性

トレチノインとハイドロキノンを使用することで、シミはどのようになくなっていくのでしょう。シミのもとでもあるメラニン色素が作られるメカニズムと共に見ていきましょう。
メラニン色素は、角質層の奥深くにある真皮を紫外線から守るために作られる色素です。
紫外線には肌に悪影響を与える有害物質が含まれており、それらを真皮に侵入させないためにメラニン色素が作られるのです。いわば、紫外線から肌を守る防御作用と言っても良いでしょう。

皮膚が紫外線を浴びると、ケラチノサイトと呼ばれる表皮細胞で活性酸素が作られます。
活性酸素というと有害物質のように思いますが、本来の働きは体内に侵入した細菌などの病原体から細胞を保護する役目を持っており、必要量が保てていれば体に良いものなのです。
しかし、紫外線を浴び続けることで活性酸素が過剰に増えてしまうと、逆に保護しなくてはならない細胞にダメージを与えてしまうのです。

肌細胞がダメージを受け続けると、今度は皮膚の伝達細胞が、メラニンを作り出すメラノサイトに皮膚を守るように指令を出します。
指令を受けたメラノサイトでは、酵素のチロシナーゼを酸化させてチロシンという物質を作り出します。これが徐々にメラニンへと変化していくのです。合成されたメラニンは、角質層の上へと押し上げられ肌が黒くなるのです。
日焼けをしても、シミになるのは肌の一部分です。これは、肌のターンオーバーによってメラニン色素が古い角質と共に剥がれ落ちるため、しばらくすると今までのような白い肌に戻るのです。
しかし、加齢などの要因によってターンオーバーの期間も延び、肌の活性化機能も徐々に低下してしまうことで、一部がシミとなって皮膚に残ってしまうのです。

ハイドロキノンとトレチノインで肌細胞を作る

トレチノインとハイドロキノンを肌に塗ることにより、皮膚の表面の角質から表皮のさらに奥にある真皮へと到達します。
真皮にはメラニンを作り出すメラノサイトがあり、ハイドロキノンはここでチロシナーゼの活動を弱らせると共に、メラノサイトの働きを抑制してメラニン合成を止めます。
同時に、トレチノインがコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進させ、細胞と細胞の間に十分な水分を与えます。
これにより、肌細胞が活性化して細胞分裂を促進させ、どんどんと新しい肌細胞を作り出していきます。新しい肌細胞が生まれると、古い皮膚は角質へと押し上げられていきます。
新しい皮膚は、表皮層に留まっていたメラニンも一緒に角質の表面へと押し上げていきます。
皮膚の表面まで押し上げられたシミは、トレチノインのピーリング作用によって古い角質と共に剥がされ、新しい角質へと生まれ変わります。これを繰り返していくうちに、徐々に肌がきれいになっていくのです。

レチノールよりも効果が高いトレチノイン

ビタミンAの一種であるレチノールにもシミ改善効果がありますが、ビタミンA誘導体のトレチノインはその100倍~300倍もの効果があり、更にビタミンAよりも安定した働きをしてくれるため、よりシミ改善効果を実感できるのです。
メラニンは、紫外線を浴びる時だけに作られるのではなく、肌の伝達細胞が「真皮に危険が及ぶ」と判断した時に合成されます。
例えば、ニキビができたりすり傷ややけどを負った際、患部が治っても跡が残る場合があります。これも伝達細胞が危険を察知してメラニンを合成させ、皮膚の内部を保護した証拠なのです。
トレチノインは、スキンケア製品にプラスする形で塗る外用薬となっています。
ただし、長期間継続して使用すると効果が低下するため、数ヶ月使用したら数週間は使用を止めるといった使い方をします。
使用方法は、その人のシミの状態や肌質などによって違ってきます。そのため、早くシミを消したいからと自己判断で用量を増やしたり、回数を多くしたりしないようにしましょう。最も早くシミを消すには、医師の指導通りに使用することです。